株主総会とは?その仕組みや開催の流れ、具体的な種類について解説

株主総会・決算説明会

株主総会は一部の例外を除き、株式会社である場合には必ず開催しなければならないものです。現在ではコロナ禍の影響もあり、オンライン上で株主総会を行う企業も増えてきました。

本記事では株主総会の概要や種類、流れについてご紹介し、バーチャル株主総会が増えている背景やその魅力なども解説します。

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株主総会とは

株主総会とは、「株主の総意に基づいて会社に関する意思決定を行う機関」のことです。具体的には会社の方針や人事などを決定する役割を持っています。株主総会は会社法において取締役とともに必要機関とされており、基本的に開催が義務付けられています。

株主総会が重要な意味を持った事例

株主総会が重要な意味を持った事例として、関西スーパーの統合決議が挙げられます。一連の出来事を時系列で説明します。

ディスカウントスーパー「オーケーストア」を運営する首都圏地盤のオーケー株式会社が、2021年6月に関西スーパーに対して2250円で公開買い付け(TOB)する意向があることを、関西スーパーの取締役の一人と協議していました。オーケーは関西スーパーを子会社化することにより、関西エリアに商圏を広げられるメリットがあったのです。

ところが、関西スーパーは8月31日に突如として「阪急阪神百貨店」を運営するエイチツーオーリテイリング株式会社と統合し、グループ傘下に入ると発表。この発表にオーケーは反発。9月3日に2250円で関西スーパーをTOBで子会社化する提案をします。2250円という株価は発表当時の株価の6割のプレミアムをのせたものであり、既存の株主にとっても魅力的な提案でした。

この提案の可否を決定するため、10月29日に臨時株主公開が行われ、この結果は日本中が注目することとなりました。

その後、神戸地裁では上記の票に対し「棄権」扱いとする判決となり、一時は結論がひっくり返る展開となったのです。(2021年12月14日現在、最高裁にて「オーケー」の許可広告を棄却し、結果として統合案は可決となっています)

上記はあくまでも一例ですが、株主総会の開催は非常に重要な意味を持っていることが分かります。

株主総会の種類とは?

では、ここからは株主総会の種類について詳しく見ていきましょう。
主に、以下のような種類が挙げられます。

定時株主総会

定時株主総会は毎年の事業年度が終わった後に必ず開催されるものです。当該年度の決算書類の承認・報告、剰余金の配当といったことが決議されます。会社法上では期限について明示されていないものの、基準日や権利行使日の関係で決算日から3ヶ月以内に招集、開催する必要があります。

臨時株主総会

臨時株主総会は、上記の定時株主総会以外で必要があればいつでも開催することができる総会です。定款の変更や資本金の増額など、臨時で決議が必要になった際に開かれます。

先ほどの定時株主総会は決算日から3ヶ月以内に開催されるのに対し、臨時株主総会は時期にかかわらずいつでも必要に応じて開かれるのが特徴です。

株主総会の決議事項

株主総会の決議事項としては主に以下のことが挙げられます。

  • 取締役の選任・解任
  • 役員報酬について
  • 会社組織に関するもの(定款変更や事業譲渡など)
  • 計算書類に関するもの

上記のように、人事や報酬など、会社に関わること全般を決定します。ただし、決議事項の重要度によって決議の種類も異なり、その内容にも違いが存在するのです。

株主総会の決議事項の種類

通常、決議事項は普通決議によって決議されます。ただし、より重要な決議事項である場合には別の決議が行われるケースもあります。以下では、各決議の方法と具体的な事例を解説します。

普通決議

株主総会で基本となるのが普通決議です。この決議では定款に特別の定めがない限り「議決権を行使可能な株主の議決権の過半数」を定足数としています。また、「出席した株主の議決権の過半数」によって決議が行われます。

主な決議事項の例としては、

  • 取締役・監査役の選任
  • 取締役の解任
  • 剰余金について
  • 資本金額について

などを決議します。

特別決議

定款変更や解散、合併など重要度が高い決議事項を決議するのが特別決議です。「議決権を行使することが可能な株主の議決権の過半数」を定足数とし、「出席株主の議決権の3分の2以上」によって決議が行われます。

主な決議事項の例としては、

  • 特定株主からの自己株式の取得
  • 譲渡制限株式の買取り
  • 株式の併合
  • 解散
  • 組織変更や組織再編

などが挙げられます。

特殊決議

特殊決議は上記で紹介した普通決議や特別決議よりもさらに重要な決議事項に対して行われるものです。

「議決権を行使することが可能な株主の半数以上(定款で定めている場合にはその割合以上)」の出席が必要であり、普通決議や特別決議とは違って定足数や議決権の数に規定がありません。決議は株主総会で議決権を行使できる株主の半数以上、もしくは3分の2以上の賛成によって可決となります。

主な決議事項の例としては、

  • 全部の株式につき譲渡制限株式とする定款変更
  • 一定の吸収合併契約等の承認

などを決議します。

特別特殊決議

先ほどの特別決議よりも、さらに重い決議事項を取り扱うのが特別特殊決議です。こちらも定足数に決まりはありません。「総株主のうち半数以上の株主が出席」し、そのうちの「議決権4分の3以上の賛成」によって可決されます。

主な決議事項の例としては、

  • 株式譲渡制限会社で配当や残余財産を受ける権利などについて、株主ごとに異なる取扱いをする際の定款変更

などを決議します。

株主総会の流れ

では、ここからは株主総会の流れについて見ていきましょう。
それぞれの流れの概要を以下で詳しく解説します。

株主総会招集を決定

取締役会設置会社であれば取締役会後に株主総会を招集します。取締役会非設置会社の場合には取締役によって株主総会の招集が可能です。議決により、開催時間や場所、議題などを決定します。

株主に招集通知を送付

株主に招集通知を送付します。公開会社では、株主総会当日の2週間前までに通知することとされています。

株主総会を準備する

株主総会の準備を行っていきます。株主からの質問を予想した想定問答集の作成や、会場の確保などを行います。会場は会社の会議室やホテルなどを用意するケースが多いです。どの場所にするか特に制限は設けられていませんが、なるべく株主が出席しやすい場所を設定することが望ましいでしょう。

株主総会の実施

株主総会を実施します。当日の流れについて規定は無いですが、会社の現状を説明して議案を進めた後、株主から質疑応答を受けるという流れが一般的です。

質疑応答については決議事項に関することが基本ですが、それ以外でも経営上の質問や業績に関する質問が認められる場合も。業績が良くない会社や、社内で不祥事が起こった場合には株主総会が紛糾するケースもあります。

議事録の作成・保存

株主総会が終わると議事録を作成し、株主総会の日から本店に10年間備え置く必要があります。また、支店がある場合、支店にもその写しを5年間備え置かなければなりません。そして、株主と会社債権者の請求があった場合には閲覧・謄写させるという規定があります。

コロナ禍で増えるバーチャル株主総会

新型コロナウイルスの影響により、企業では株主総会をオンライン上で開催する動きが広がっています。以下ではコロナ禍で注目されているバーチャル株主総会について解説します。

2020年バーチャル株主総会の実施状況

2020年6月の段階では、会社法上の問題からバーチャルオンリーの株主総会は難しいという状況にありました。そこで、物理的な会場を設ける一方で、追加的に取締役や株主等がインターネット手段を用いて株主総会に出席する、「ハイブリッド型のバーチャル株主総会」を実施するのが主だったのです。

経済産業省によるとハイブリッド型のバーチャル株主総会を実施している社数は、審議等を確認、傍聴することができる「ハイブリッド出席型」が9社、議決権行使や質問等ができる「ハイブリッド参加型」が113社となっていました。

参考:ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド(別冊)実施事例集|経済産業省

ただし、配信遅延や通信障害などの問題も予想されており、実施企業ではその対策が行われました。(例えば、ソフトバンクグループでは事前登録制を採用し、当該登録者数を元に必要なサーバー構築を行うなどの対策が行われました)

法改正でバーチャルのみの株主総会が可能になった

2020年では上記のようにバーチャルオンリー型の株主総会が厳しい状況にありました。しかし、2021年6月産業競争力強化法において、会社法の特例として「場所の定めのない株主総会」に関する制度が創設されました。

これにより、上場企業ではバーチャルのみの株主総会開催が可能になったのです。バーチャル株主総会とは、Web上の会議システムなどを使ってオンライン上で開催する株主総会のことです。議長や取締役、株主などの出席も全てオンラインで完結させることができます。

参考:経済産業省 場所の定めのない株主総会(バーチャルオンリー株主総会)に関する制度

バーチャル株主総会の魅力

オンラインで行う株主総会には様々な魅力が存在しています。まず、最大のメリットとして新型コロナウイルス感染対策となることが挙げられるでしょう。バーチャルで株主総会を実施することで密集を避け、感染リスクを下げることに繋がります。

また、オンライン上で完結するため遠方に住んでいる株主が参加しやすくなることも利点です。参加へのハードルを下げ、より活発な議論を促すことができます。このほかにも、情報の開示が行いやすいというメリットも挙げられるでしょう。リアルタイムで動画配信を行うことにより、情報の透過性を担保する効果もあります。

今後もバーチャル株主総会は増える見通し

上述した通り、バーチャル株主総会にはコロナウイルスの感染拡大以外にも様々なメリットが挙げられます。

まだまだ収束する気配がないコロナ禍の現代において、今後もバーチャル株主総会は増えるでしょう。開催者側はそうした将来に向け、技術的な準備に加えて株主への理解を促すなどの対応を行っていくことが大切です。

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